冬は寒いところへ行きたくなる。

 

連休を利用して青森県に行って来た。

 

 

 

 

 

産業廃棄物やエネルギーの搾りカスなんかを有意義な”何か”に作りカエルという看板を目にし、

消費する(主に酒とか)ことばかりな自分の存在意義の小ささ、、、、

なんかに思いを馳せてみてもしょうがないので、青森のとれとれぴちぴちな魚を堪能しつつ

お酒をがぶがぶ飲んで幸せについて本気出して考えながらデジカメで写真を撮ってみた。

 

 


 

1月8日

青森県の三沢空港に昼過ぎに降り立ち、まず三沢市内で寿司を食おうという計画だったんだが、

いきなり軽く迷子をかましてしまい、結局列車の発車時刻が近づいたため、とりあえず駅に向かうことを優先する。

なんといっても、列車は1時間に1本しか来ないのだ。おまけに、予約したホテルの最寄駅へは、

「乗り換え」という困難な障壁を越えなければいけない。乗る列車を1本遅らせたら、乗換駅で

何時間も待たなきゃいけなくなるという、最悪の事態も起こりうるのである。それだけは避けなければ。

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想像していたほどには寒いとは感じなかった。ただし、空気の質はやはりピリピリしている。

新潟に行ったときも同じような印象を受けたが、もちろん気温は絶対的に青森の方が低い。

天気が良かったからまだマシだったんだと思う。

 

乗換駅の八戸駅で10分ほどの待ち合わせの合間に

立ち食いソバをかき込む。注文して1分くらいで出てくる

料理ってのはなかなか偉大である。

お寿司と比べるとえらい格差の昼食なんだが、

なんとなく旅をしてるっていう雰囲気もあるし、

けっこう美味しかったので悪くない。温かいツユが

冷えた身体に優しい。6分ほどかけて食べ終え

八戸駅から目的地である本八戸駅へ。


その昔、本八戸駅は「八戸駅」だったそうだ。で、今の八戸駅は「尻内」という名前の駅で、

2年程前に東北新幹線が尻内駅まで延伸されたときに、現在の名前にそれぞれ変更されたそうだ。

要するに大事なことは、街として賑わっているのは現時点では「本八戸駅」のほうだということである。

駅はけっこうしょぼいけど。

中心地まで数百メートル歩かないといけないけど。




今回やって来たのは青森県の右下に位置する八戸市。

青森県は、下北半島に抱かれる湾に面する青森市と、

日本海側の弘前市、そして太平洋側の八戸市がそれぞれ拓けており、

そのそれぞれに特色や名物や美味いもんの違いあるそうだ。

この3つの市がほぼきれいな三角形を描いているのがおもしろい。









ホテルへ向かう前に、駅前のスーパーに入店し、

地元の食料品事情を軽くリサーチしてみることに。

 

期待を裏切らず、魚介類がとびきり安い。すさまじく安い。

ちなみに分厚めの真鯛の刺身10キレほどのが

1パック¥398(でもなぜか愛媛産)

マグロとかサーモンとかハマチの刺身も

同様の量でほぼ同価格。たいしたものだ。


思わずお買い上げたくなりそうになるが、夜の居酒屋で楽しむんだと自分に言い聞かし、なんとか我慢した。

 


 

青森は陽が落ちるのが早い。17時くらいにはけっこうもう薄暗い。思えば東に来たもんだ。

18時くらいまでホテルで一休みし、目当ての居酒屋へ。

向かったのは、繁華街の中心部に近いところにある

「ばんや」という居酒屋。

カウンターに数席とテーブルがいくつかの店内。

近代的な装飾や施工は一切見受けられず、

木を基調とした店内の造りは、しんみりと、しみじみと、

ただひたすらに緩やかな昭和の空気を醸し出している。

結果的に、2時間ちょっとの間、居座ってしまったが、

長居すればするほどに、ひたすら落ち着く。

BGMは、壁の上方に載せられたテレビの音。あとは客の会話。お客は地元の人が多く、

それらの方言や訛りもこの空気の成立に一役買っているのかもしれない。とても良い店である。

 

まず瓶ビール(サッポロ)を飲み、刺身とカキ酢をオーダー。刺身はイカとマグロだった。

青森(八戸)はイカの漁獲高日本一を誇っているんだが、そのイカはコリコリと歯ごたえがよくウマい。良い。

マグロはけして不味くはないが幾分イマイチ。カキについてはやはり食感がよく、なかなか美味しかった。

2杯目からさっそく日本酒へ。カウンター後方の棚に10種類ほどの1升瓶が並べられており、

席に着いた頃からずっと気になっていた。なかなか素敵なラインナップで、気絶するほど悩ましい。

 

まず青森の酒である菊駒の純米酒というやつと、十(とお)という純米吟醸。十のほうは残りが僅かで、

お猪口に1杯だけ飲ませてもらう。なかなかすっきりとして良い香りの酒だが、やや俺には甘口か。

菊駒のほうもすっきりとしていてあと味も悪くないが、旨みの主張もかなり薄い。飲み応えに乏しい感じ。

続きまして、醸し人九平次の吟醸酒。やや久しぶりの九平次だが、菊駒がずいぶんあっさり味だったせいか

より旨みが鮮烈で濃厚に感じる。ウマい。

ここで 「何か煮魚を」 とオーダーしたところ、数分後にメヌキという魚が出てきた。

初めて聞く名の魚だったが、身は程よく締まり、あっさりとした白身魚的な上品な旨みが楽しい。

噛み締めたときの身のほぐれ方は、なんとなく鱈に似ているように感じた。

大将曰く、「この辺は鯛が捕れませんから。みんなこれを鯛の代わりに食うんです」とのこと。

美味い肴に酒もすすむ。次に綿屋という宮城県の酒をオーダー。

「綿屋(の醸造元)は良い酒を作りますね。」と大将。

「ちょっと前の綿屋は特に良かったんだけど。」とこれも大将。なかなか悪くない飲み口だったが、

俺的には九平次のほうが美味かったかな。ていうか綿屋の味はあんまり良く覚えていない。

 

このあと出羽桜を飲んで(相当ウマい)ると、カウンターの向こうの方に座られた

2人組の男性に話し掛けられる。

八戸(本八戸駅周辺)の美味しい店を教えてもらったり、俺の地元の話などをする。

お二方とも50歳前後くらいで、豪快な声でよく笑う、しかし上品な2人組だった。

 

連れが、目の前のカウンター上に置かれていた、なめこのお惣菜をオーダーする。

酒粕と醤油と青唐辛子を合わせた”三升漬”という、青森では各家庭が

それぞれ独自の製法や配合で仕込む味噌のようなものとなめこを混ぜ込んだものだが、

これがたいそう美味かった。ほんのりピリ辛のそれをちょっとずつ口に運ぶんだが、

これでますます酒が止まらなくなる。大将に酒を見繕ってもらい、陸奥男山というのを飲ませてもらう。

なかなか辛口で切れ味がよく、香りはいくぶん生臭い印象もある(…たぶん。違う酒と混同してるかも)んだが、

このアテにとてもよく合った。あぁ楽しい。誰か俺を止めてくれ。サムバディィ ストップミィィィィィィィィ

 

先述の2人組の男性に「三平汁食べなきゃダメだよ〜 おいしいんだから〜」という指導を頂き、

けっこう腹いっぱいだったが言われたとおり注文。酒がなくなったので、ついでに九平次をもう1杯オーダー。

三平汁は、鰊のダシと昆布かなにかよく判らないおいしいダシがウマウマで、上品で優しくて華麗な味わい。

野菜も数種類入ってたと思うが、特に大根がおいしかった。鰊の身も、やや臭みが残るが良い味。

もう満足です。何も言うことはありません。ありがとうございました。

 


 

しかし、やはりBARにも行きたい。というわけで、大将と2人組の男性にいろいろすいませんと挨拶して

少し歩いたところにあるバー「52nd」という店へ。

けっこう居酒屋で飲んで酔っ払ったんだが、移動途中の

夜の冷気が身体をアイシングし、少し醒めたような気もする。

 

今回の旅行の出発前に色々とバーをリサーチしたときに、

なかなか良いバーと思ってなんとなく場所を記憶していた店だが、

ちょっとスナックっぽい(間取りやイスとか)店内はいいとして、この日はけっこう客でごった返しており、

あまり落ち着いては飲めなかったのは残念だった。まずギムレットを飲む。少し甘いか。

でもよく冷えていて悪くはないような気もする。もう1杯カクテルを飲んでみようとサイドカーを。

なんとなく今までに飲んだことがない飲み口(変わったブランデーを使ってるのか?)に感じたが、

面白い香りは問題なくおいしいと思った。

 

クラッカーの上にチーズとかサラミとか何かの貝とか、いろんな具がのっている

付き出し(というかチャームというかオードブルというか)が美味しかった。

印象に残ってるのは、肉かなにかをタバスコベースのソースで和えてあるやつ。変わった風味で楽しい。

仕上げにスプリングバンクを飲んで、最後にターキーで〆る。ひとまずこれにてホテルに退散。

 

 

   

ホテルに帰る途中、酒屋とコンビニが合体したような量販店に立ち寄り、

水とお茶を購入しつつ、青森地酒の「杉玉 純米吟醸」のちっちゃいビンを購入し、

生ハムをアテに寝酒をすする。この杉玉の酒造会社がなにかの賞を受賞したらしく

ビンの口のところにもそれが宣伝されていたが、やや甘めな味はイマイチな感想。

なんとか完飲・完食は果たすが、飲み疲れて即爆睡。

 


 

1月9日

この日も朝は晴れてたが、天気はころころと変わる。

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この日はまず、『八食センター』という、卸市場と、飲食ができる施設を兼ね備えた観光施設に向かうため、

昼過ぎからバスで移動。この八食センターからは、八戸駅とを結ぶ100円バスと、

本八戸の繁華街(六日町・三日町)とを結ぶ200円バスが運行されており、観光客に優しい。

六日町―八食センターの200円バス>

 


約20分ほどで到着。

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まずは昼飯、ということで、八食センター内の回転寿司 「市場寿司」 に向かう。 が、

 満席

 行列

 

性格的に、列に並ぶこと(しかも食い物のために)は大嫌いなんだが、行列が出来てるってことは

それだけ美味しい(安い)ということでもある――とポジティブに捉える努力をし、30分ほど粘ってみる。

話し言葉や服装などから、俺らの前後で並んでる人の中に、地元の人がけっこう多いことが窺い知れる。

この八食センターは、もちろん観光客も多いんだが、地元の人が普通に買い物や飲食に来るところでもあるようだ。

ちなみに市場のほうは、リーズナブルな価格で美味しそうな魚介類を豊富に売っている。

例えば、どんぶり一杯くらいの量のマグロの切り身(刺身じゃなくて、雑に切り捌いたような赤身)が

プラスチックのパックに入っていて、これが¥525とか。

ウニとかカニとかも、俺には適正価格がよくわからないんだが、安いんじゃないだろうか。

前に行って打ちのめされた、白浜の「とれナントカ市場」とは大違いである。

 

今までの人生で、食い物のために行列に30分も

並んだのは初めてだ。スキー場のリフトや天橋立の

ロープウェイに並んだことはある。あとドラクエIIIを

買うために何時間か並んだな。結局買えなかったが。

 

そんなことを考えてるうちに列は進み、

いよいよ我々は店内の待合席まで駒を進めた。

もう勝ち組は目の前である

 

 

満を持して席まで案内され、お寿司を食べるぞ食べるぞ食べるぞ。

  

サッポロクラシックラガー★★★★★        マグロ★★★             サーモン★★★         

  

軍艦ユッケ★★★★           しめさば★★★★             ハマチ★★

    

ホタルイカ(俺は食わず)           イカ★★★★              ブリトロ★★★★

    

  生サバ★★★★★            茶碗蒸し★★★★            ヒラメのエンガワ★★★

      

鉄火巻★★★★★                ヒラメ★★★★

 

★は(゚д゚)ウマー度の目安というか俺の好みというか。

他にも数皿食って、確か21〜22皿で¥5,000と数百円だった。ごちそうさまでした。

 


 

100円バスに乗って、八戸駅にやってくる。駅ビルはなかなか近代的できれいだが、

あまり周辺は賑わっていない。

駅構内にはいくつかの出店が並んでいた。

物産展のような催しが開かれてるようだ。

「おもてなし隊」の方々が居られたので、記念に撮っておいた。

 

 

 

 

 


 

電車に乗って再び本八戸駅まで帰ってき、ホテルで少し休憩して2日目の夜の街へ。

判りにくいが、けっこう吹雪的なコンディション。

 

 

昨晩の居酒屋は、旅行前に調べておいた店だったが、本日はまったくのノープラン。

ホテルフロントに置いてあった飲食店案内等を駆使し、「左エ門」という、ちょっと古風な居酒屋へ。

   

店内はけっこう広く、フロア中央にそれぞれ仕切りで区切られた堀ゴタツ型のテーブル席が十数席あり、

それらを取り囲むように、フスマでしきられたお座敷部屋が数部屋といったレイアウト。

日曜ということで、テーブル席は五分ほどの埋まり具合だったが、座敷のほうはけっこう賑わっていて、

どの部屋も宴会の真っ只中のようだ。

 

まず生中で乾杯し、いくつかの肴を注文する。

   

ヒラメの刺身と、ホタテ貝の磯焼き。ヒラメはとても身がきれいで、ボリュームもあり、

噛んだ時の弾力もいい感じだったんだが、味わいにいささか難ありといった感想。

”パサパサ”とまでは言わないが、旨味があまり確かめられない。

ホタテのほうは写真のように、まず視覚的に楽しく、味もおいしいと思った。

幾分コリッとした食感には新鮮さが感じられ、また、醤油と酒をベースにしてると思われる

汁との相性もかなりグー。ぐつぐつと沸き立つほどにプルプル震える貝柱はなんともいとおしい。

 

   

鮭ハラスの塩焼きと、刺身盛り。ハラスは良い塩加減で、ジュルッと脂がのっており、

酒のつまみにはもってこい。なぜか鴨のような肉が2切れ乗っていた。

刺身盛りは、たしか松・竹・梅かなんかで3タイプの盛りがあり、それぞれ3〜5人向け、2〜3人向け、

1〜2人向けというふうな説明書きがあったと思う。写真は「梅」」の盛りなんだが、

それでもなかなかのボリュームがあるんじゃないだろうか。値段は¥1,000くらいだったと思う。

サーモン、ハマチ、エンガワ、マグロ、甘エビ、生タコ、イカ がのっているが、個人的には

タコがおいしかった。どうも期待が大きかったのか、刺身については「そんなにでも」というような

感想を抱くことが、今回の青森旅行では多かったような気がする。安いことは安いが。

 

   

青森の郷土料理である「ひっつみ」という鍋物。  これがひっつみ↑

ひっつみの正体は、小麦粉かうどん粉を練ったもの。すいとんに近い感じ。

もちもちとした食感で、ひっつみ自体には味は殆どないんだが、あっさりとした味付けの汁を

ほんのり吸い込んでいて、野菜や肉などのほかの具と一緒に口に放り込んで噛みしめつつ、

そのおつゆでぐぐっと流し込むと、なんとも美味しい。意外に腹にどっかりくる。

野菜もシャキシャキして美味しいように感じた。

 

モツ煮込み。白味噌を使ったような淡い色の汁で煮込まれていた。

あっさりした味付けだが、どっさり盛られた野菜から水が出て、そんな味わいになってるのかもしれない。

もうちょっとピリ辛な味付けのほうが良いんじゃないかなとか思うが、まあこれは好みの問題。

 

 

で、酒方面だが、生中を飲んだあとは、菊駒という、昨日も飲んだ銘柄の純米酒と、

駒泉という、これも青森地酒の純米吟醸を1合ずつ。

駒泉のほうが味に華やかな感じがあり、美味しく感じた。この店ではこれでお勘定。

 

暖房が効きすぎていたとは思えないが、飲み食いしてる間にやたらと身体が熱くなり、

上記の料理(この店で食べた全てのオーダー)を食べ終えて、相当腹が苦しくなったのだ。

これは連れも同じで、そんなに膨大な量を食したわけでもないのにおかしいな、という話を

したことを覚えている。料金はしめて¥5,800くらいだった。

 


 

腹ごなしと、火照った身体の回復を兼ねて、夜の街を散歩する。

時間にしてだいたい20時前くらい。気温は実にマイナス8℃。

ここで睡魔に襲われたら一巻の終わりだな。

ほっぺたや足の裏がじんじんと熱を帯びていたが、

なんとか回復を目指してふらふらと闊歩する。

ホテルに帰るわけには行かない。もう1軒行きたいからだ。

 

 

 

   

ぼやっとしてた頭もだいぶ冷えてすっきりしてきた。膨満感も少し落ち着いたようだ。

日曜は休みのバーが多かったが、2つめに見つけた「K's BAR」の門構えに

「ハズレではないだろう」の雰囲気を感じとり、入店する。

開店時間直後だったのか、マスターは幾分ばたばたした感じを漂わせていたが、

2杯目を飲むあたりからは落ち着きだし、ゆっくりと飲むことが出来た。

 

客はもちろん俺らだけ。L字型のカウンターに10席程度のイスと、

後部にテーブル席が4組ほどある、なかなか中規模なハコと言えよう。

俺はまずギムレット。連れはパリジャンというカクテルを注文し、マスターの挙動をぼんやり眺める。

作業は丁寧で、それでいてキビキビと動いておられる。カクテルグラスはしっかりと氷で冷やされ、

フレッシュライムとかも惜しみなく搾ってくれてるようだ。

どうやら「ちゃんとしたバー」であるようだということで、ほっと胸をなでおろす。

味は、若干砂糖の分量が多いのか、やや甘な飲み口。あまり美味しいとはいえないが、

初めての客で1杯目、しかもまだ20時過ぎということで、マスターも探り探りなんじゃないかなという

見方も出来ると思う。7分ほどかけて飲み干し、2杯目はエドラダワー。

ずいぶん久しぶりにこの酒を飲むような気がする。くどさやいやみがなく、程よく濃厚な香りと

重過ぎない飲み口に、ずいぶん気分がよくなる。さっきまでの病人のような体調はどこへやら。

このあとスプリングバンクを飲んで、タリスカー。いよいよエンジンがぶんぶん回ってきた。

しかし酔い具合は殆ど進まず、飲むほどに健康になっていってる様な錯覚も覚える。やばいな。

 

けっこう、俺がいつも飲んでるウィスキィがバックバーにずらりと揃っている。

そんなに珍しいものをお気に入りしてるわけじゃないので、それほど凄い事でもないんだろうが、

こういうのはなかなか嬉しいもんである。

 

何杯飲んでも酔う気がしないので逆に自分の身体が恐ろしくなり、ここでマティーニを飲むことにする。

最初のギムレットに比べれば、ずいぶんとドライに作ってくれた。なかなかおいしい。

これを3分ほどで飲み干し(下品だな)、次にアードベックをストレートで。

17yもあったが、この店の料金レベルがよく判らないこともあり、普通に10yのものを。

ちびちび飲んでるうちに、少し酔いが回ってきたかなという感覚。なぜか「よっしゃよっしゃ」と一人頷く。

7杯目にワイルドターキーをロックで飲んでると、いよいよ酔いが実感として捉えられるようになってきた。

七分酔いくらいになって、これでお勘定。2人で12杯飲んで¥10,000と少しだったかな。

これだけ飲んだことを考えれば安いんじゃないかなと思う。

 

マスターと会話を交わすことは結局なかったが、キビキビと動いて感じがよく、

俺らが飲んでる途中に、「9人なんですけどいいですかぁ?」という客が来た時も、

店の雰囲気(空気)を守るためか、「団体さんはお断りしてまして…」と断ってたり、

いろいろとちゃんとしているお店のようである。

俺も連れも、酔っ払ってでかい声出したり騒いだりしないように気をつけてはいるが、

どちらかと言えば黙々と12杯もがぶがぶ飲んで、しかも関西弁丸出しということで、

これはこれでずいぶん変な客のように思われてたかもしれない。

でも楽しかったし、とても居心地がよかった。

 

 

帰りにラーメンを食って帰る。津軽ラーメンはイワシの煮干で採ったダシをベースに

あっさりした味付けの醤油系スープが俺の好みである。ラーメン1杯¥500。

されどラーメンではあるが、たかがラーメン。

800円とか1000円以上のラーメンなんて、客をバカにしてると俺は考える。

  

 


 

1月10日

この日も朝から晴天。朝から松井秀喜と丸山茂樹の対談番組など観つつ、

ホテルをチェックアウトして、六日町近辺を軽く散策。

 

どうでもいいことだが、八戸では”月極”を”月決”と書いてる

駐車場が多かった。ほんとどうでもいいが。

 

 

 


 

昼飯は、1日目の晩に「ばんや」で、

陽気なおっさんに教えてもらった、

「番丁庵」という蕎麦屋でとることに。

雰囲気のある入口だが、中はとてもきれいで、

壁に芸能人の色紙などが数枚飾られている。

『そばも役者も、味と香りかねぇ』――地井武雄

『もうだめだと思ったり、まだやれると思ったり』――大滝秀治

 

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ビールを飲んで、俺は三味(さんまい)盛り(右上)。

連れはなめこおろし盛り。→

三味盛りは、普通ツユ・鴨ネギ汁・ゴマ風味の

3つの味で食べることが出来て楽しい。肝心の蕎麦は

やや細めだが歯応えがよく、香りも豊かで

ぴちぴちとしてる印象。たいへんにおいしかった。

鴨ネギ汁も良いが、やはり普通ツユが旨いかな。

蕎麦だけお代わりをしたかったんだが、

時間が迫っていたのでそれは叶わなかった。

とにかく厨房からもわっとそば粉の香りが漂ってくるし、おしぼりと一緒に持ってくるお茶もそば茶である。

アレルギーの人にはそれこそ生き地獄だろうが、そうでなければこれはお勧めのお店だと思う。

 

 


 

このあと、ほどなく空港バス発着所に向かい、バスに揺られ三沢空港へ。

日中でもマイナス3℃くらいの八戸から、2時間程度の移動時間で、5℃くらいの気温の

大阪に戻ってき、梅田のなんとかいうお好み焼き屋で、少し早めの晩飯を連れと食べて帰る。



冒頭にも書いたとおり、とれとれぴちぴちな魚介類を目当てに向かった青森だが、
お刺身などの生のそれらには、あまり「うほっ!こりゃ殺生やわ」というような感動は得られなかった。
ただ、けして不味いということではなくて、「地元の居酒屋でも食えるレベルくらい」ということ。
醍醐味としては、地元で食うよりもずいぶん安く楽しめるということもあるが、なにより
この土地の飲み屋や酔客が醸し出す、懐かしいような暖かいような独特の空気が今回の一番の思い出である。


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