〜9〜 トレーニング |
――完全に練習を休む時期もあるのですか
「シーズン終了後、1週間から10日程度休みます。そうすると、体を動かしたくなる。ランニング、素振りから始めます。今回のオフは、12月20日に帰国した後、ティー打撃を開始し、1月4日からマシン打撃を始めました」
――筋力トレーニングは
「何年もやってくると、どこを鍛えるべきか、どこは鍛えてはいけないかが、分かってくる。そんなに時間はかけません。何日かに一回、技術練習の合間に筋力トレーニングを入れていくといった感じです」
――筋力トレーニングでは、イチロー選手専用のマシンを使っている?
「僕だけのためではありませんが、従来のものとは違うマシンです。それしか使えない。他のマシンでは、筋肉痛や疲労が激しいので。肩甲骨の周囲、背筋、そして脚の筋肉を鍛えます」
――どのような効果を狙っているのですか
「柔らかい筋肉が出来るんです。そして、必要以上に肥大しない。肥大して良い部分もあるが、してはいけない筋肉がたくさんあります。柔らかい筋肉が、しなやかなプレーを生む。硬い筋肉が大きくなると、動きに制限が出る。僕の良さを殺すことになります」
――いつごろから、筋力トレーニングを本格的に始めたのですか
「95年あたりから、やったんです。僕も、むやみに何年か。すると、やった後の状態が良くない。オフの間にやってその後、春先の状態がものすごく悪い。思ったような動きが出来ない。オフの間の過剰な筋トレに原因があった。特に胸の筋肉は、つくと見栄えも良くなるからやりたくなるのですが、動きに制限が出る。シーズンに入り、トレーニングをしなくなってやせてくると、よく動けるようになった。それに何年も気づけなかった。脚の裏側とか、見えていないところが大事なんです。柔らかくて耐久性のある筋肉が。ももなども肥大させずにパワーアップするのが理想。ただ、どうしてもトレーニングを重ねるとある程度は大きくなってしまいますが」
――大リーグのキャンプをどう思いますか
「練習時間は短い。ただ、休日が全くないので気分転換が出来ません。休みがあったほうが効率的だと思う。3日練習して1日休みの、日本式は良い考えです。そして、マリナーズではこの2年間、組織的な練習をしなかった。それで昨季はミスが多く出たのですが……」
――打撃投手がいなくて困りませんか
「打撃投手が必要なのは、自分のスタイル、形が出来るまで。打ち込みが必要な時期までです。その後はそれほど、打ち込む必要はないんです。それが出来るまでは、打つことによって、何かを見つけなければいけないのですが」